子どもの「歯の外傷」について
- 歯科治療の安全性
監修歯科医師
南 康彦 先生


皆さんのお子さまも毎日活発に遊んでいることかと思います。身体の発育には適度な運動が不可欠ですし、元気であることはとても良いことといえます。ただ、運動機能も十分には成熟していないので、よく転んだり、どこかに顔をぶつけたりすることも珍しくありませんよね。それだけに、子どもの歯の外傷に十分注意する必要があります。今回はそんな子どもの歯の外傷についてわかりやすく解説します。
▼子どもの歯の外傷の種類
子どもの歯の外傷にはいくつかの種類があります。最も一般的なのは「歯の破折」ですね。どこかに強く顔面を打ち付けた際、歯が折れてしまうことがあります。歯の表面がほんの一部欠ける程度であれば、それほど大きな処置も必要ないですが、折れてしまうと治療も大変です。折れている部位によって「歯冠破折」と「歯根破折」の2つに分けることができ、それぞれで予後も大きく変わってきます。それから、歯の外傷には「歯の脱臼」というものもあります。
▼歯の破折について
歯の破折は、歯冠で起こった方が、予後が良いと言えます。もちろん、折れ方によっては歯の神経である歯髄が露出しますが、抜髄などの歯髄処置を施すことで歯を保存することが可能です。一方、歯根の部分での破折は、予後が悪いことが多いです。歯根の部分で歯が折れてしまうと、完全に治すことが難しく、抜歯しなければならないケースも珍しくありません。ですから、いずれにせよ歯が折れた場合にはすぐに歯科を受診して、精密な検査を受ける必要があります。
▼歯の脱臼について
歯の脱臼とは、歯が抜け落ちることを意味します。歯の脱臼にも種類があって、歯槽骨から完全に脱落したものを「完全脱臼」、歯は抜け落ちていなけれどもグラグラと揺れ動いたり、歯の位置が変わっていたりする場合を不完全脱臼といいます。不完全脱臼の場合は、元の位置へと戻して固定することで病状が安定することもあります。一方、完全脱臼した歯を保存しようとした場合、抜けた歯を元の位置に埋め込んで固定しないといけないため、いろいろなリスクを伴いますし抜けた歯の管理状態によって保存できるかどうかも変わってきます。それだけに親御さまはお子さまの歯の完全脱臼には十分注意する必要があります。
▼まとめ
子どもは顔をぶつけるなどして歯に外傷を負いやすい傾向にあります。とくに歯の完全脱臼が起きた際には、歯を捨てずに適切な方法で管理し、可能な限り早く歯科を受診しましょう。「ママとこどものはいしゃさん」の加盟院なら、子どもの外傷にもしっかり対応してくれますよ。歯の破折なり、歯の脱臼が起こった際には速やかに連絡しましょう。
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