妊娠中は体調やホルモンバランスの変化によって、口腔内のトラブルも起こりやすくなります。

けれど、「治療を受けて大丈夫？」「赤ちゃんに影響はないの？」と不安になる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、妊娠中に受けられる歯科治療についてや、注意点について解説します。

■妊娠中の口内環境は変化しやすい

・女性ホルモンが影響する

妊娠中はエストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンが増加し、歯肉が腫れたり出血しやすくなる傾向があります。

妊娠性歯肉炎と呼ばれる症状で、妊婦さんの多くが経験するとされています。

・つわりによる歯みがき不足

つわりがひどい時期には、歯ブラシを口に入れるだけで吐き気を感じてしまい、ケアができないことがあります。

これにより、歯垢や汚れがたまりやすくなり、むし歯や歯周病が悪化するリスクが高くなります。

■妊娠中の歯科治療は時期に応じて可能

・初期（1ヵ月～3ヵ月）は慎重に

妊娠初期は胎児の器官が作られる重要な時期です。

そのため、この時期の治療はなるべく応急処置にとどめ、本格的な治療は避けるのが原則です。

痛みが強い場合は最低限の処置を受け、体調の安定を優先しましょう。

・中期（4ヵ月～7ヵ月）がもっとも安全

妊娠中期は体調が安定し、胎盤も完成する時期です。

このタイミングは、歯科治療を安心して受けやすいため、必要な治療もこの時期に集中して行うとよいでしょう。

・後期（8か月以降）は応急処置に

妊娠後期になるとお腹が大きくなり、診療台で長時間横になるのがつらくなる場合があります。

血流の関係で仰向けが負担になることもあるため、緊急性のない治療は出産後に回すのが一般的です。

■レントゲンや麻酔、薬は使っても大丈夫？

・レントゲンは防護対策で安全に

歯科用のレントゲンは、照射範囲が小さく、放射線量も非常に少ないため、正しく防護すれば胎児への影響はほとんどありません。

防護エプロンを着用し、必要最小限にとどめることで、撮影が可能です。

しかし、心理的な不安などを考慮してレントゲンを控える歯科医院もあります。

・局所麻酔は基本的に安全

歯科で使われる局所麻酔は、胎児への影響が少ないとされています。

ただし、アドレナリンを含む麻酔には注意が必要な場合もあるため、妊娠中であることを事前に医師に伝えましょう。

・妊娠中でも使える薬がある

抗生物質や鎮痛薬のなかには、妊娠中でも安全に使用できる種類があります。

自己判断で薬を避けることはせず、歯科医師の指示に従って服用してください。妊娠に配慮した薬が処方されます。

■妊娠中の治療で大切なポイント

・事前に妊娠していることを伝える

妊娠週数や体調の変化は、治療計画に大きく関わります。

診察前に必ず妊娠中であることを伝えましょう。

歯科医院側も、安全に配慮した対応をしてくれます。

・体調に応じた無理のない治療を

診療中に気分が悪くなることもあるため、無理せずに体調を優先しましょう。

座る体勢や診療時間も調整してもらえるため、我慢せず相談することが大切です。

・メンテナンスが大切

妊娠中は大きな治療を避け、予防中心のケアを行うのが理想です。

定期的なクリーニングやブラッシング指導を受け、トラブルが起こる前に防ぎましょう。

■赤ちゃんのためにもママの口腔ケアを

妊娠中の歯周病は、早産や低体重児出産のリスクと関連があることが知られています。

また、出産後にむし歯菌はおとなから赤ちゃんに移行するため、ママの口腔環境を整えておくことが大切になります。

出産後は赤ちゃんのお世話で自分のことが後回しになりがちです。

妊娠中のうちにしっかりと治療やケアを済ませておくことで、安心して出産と育児に集中できるでしょう。

■まとめ

妊娠中の歯科治療は、時期や内容に配慮すれば安全に受けることができます。

特に妊娠中期は治療に適しており、この期間に必要な処置を済ませておくと安心です。

歯科医院には必ず妊娠中であることを伝え、母子ともに安全なケアを受けましょう。

お口の健康は、お母さん自身だけでなく赤ちゃんの健康にもつながります。

妊娠期こそ、丁寧なオーラルケアを心がけてください。

ママとこどものはいしゃさんでは、妊娠中の方へのやさしい診療にも力を入れており、体調や妊娠週数に応じた無理のない治療計画をご提案しています。

つわりがつらい時期の相談や、予防ケアだけでも対応可能ですので、まずは安心してご相談ください。

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