こどもに多い、上唇小帯付着異常とは
- 歯科トピックス

赤ちゃんや小さなお子さんのお口をよく観察してみると、上の前歯と上唇の間に、筋のようなものが見えることがあります。
これは上唇小帯と呼ばれる組織で、誰にでもある正常な構造です。
しかし、まれにこの上唇小帯が厚くて硬かったり、前歯のすぐ近くや歯の間まで入り込んでいたりする場合があります。
これを上唇小帯付着異常と呼びます。
今回は、特にこどもに多く見られるこの上唇小帯の付着異常について、その特徴や影響、治療の必要性などを詳しくご紹介します。
■上唇小帯とは
・唇と歯肉をつなぐ薄い組織
上唇小帯は、上唇の裏側と上顎の歯肉をつなぐ薄い筋のような組織で、通常は前歯と前歯の間の少し上方に付着しています。
口を大きく開けたときや、唇を引っ張ると見えやすくなります。
本来は柔らかく、成長とともに付着位置が徐々に上に移動していくため、問題がないことが多いのですが、位置が低すぎたり厚みがあったりする場合は、機能的・審美的な問題につながることがあります。
・成長の過程で変化する
乳幼児期には上唇小帯が比較的前歯に近い位置にあっても、永久歯の萌出や顎の成長に伴って自然と上方へ移動していくことが多いです。
■上唇小帯付着異常のサイン
・前歯隙間がなかなか閉じない
乳歯から永久歯に生え替わる時期には、前歯の間にすき間があるのはめずらしいことではありません。
しかし、永久歯が生え揃ってきても前歯の隙間が残っている場合は、上唇小帯の付着異常が影響している可能性があります。
小帯が歯と歯の間に入り込んでいると、自然にすき間が閉じにくくなってしまうのです。
・授乳や哺乳がうまくできない
乳児期に上唇小帯が厚くて硬いと、唇がうまく乳首にフィットせず、哺乳がしにくくなることがあります。
赤ちゃんが授乳中によく疲れてしまう、飲み残しが多い、体重の増加がゆっくりなどのサインがある場合は、哺乳障害の一因として上唇小帯が関係しているかもしれません。
・歯みがきの際に痛がる
上唇小帯が前歯のすぐ近くにあると、歯みがきのときにブラシが当たって痛みを感じることがあります。
そのため、きちんと歯みがきができず、むし歯のリスクが高くなってしまうこともあります。
■治療が必要な場合とは
・様子を見るだけで済むことも
上唇小帯の位置がやや低い程度で、授乳や発音、歯並びに特に問題がない場合は、経過観察で済むことが多いです。
成長とともに自然に良くなる可能性も多くあります。
・必要に応じて外科的処置も
前歯の隙間が閉じない、歯みがきができない、哺乳や発音に明らかな影響が出ていると判断された場合は、上唇小帯切除術と呼ばれる簡単な外科処置の適応となります。
この処置は局所麻酔で行われ、短時間で終わることがほとんどです。
レーザーを使って行う医院もあり、出血や痛みも少ないです。
・矯正治療と併用することも
前歯のすき間が気になる場合、小帯の処置だけではなく、必要に応じて矯正治療も併用されることがあります。
矯正によって歯の位置を整え、小帯の位置や動きを調整することで、きれいな歯並びと安定したかみ合わせを目指します。
■まとめ
上唇小帯は誰にでもある正常な構造ですが、その付着位置や形に異常があると、口腔機能や歯並びに影響することがあります。
特に、前歯の隙間が閉じない、歯みがきのたびに痛がる、授乳や発音がうまくできないなどのサインが見られたら、一度歯科医院で相談してみましょう。
ママとこどものはいしゃさんグループでは、お口健康を守るためのアドバイスを行っています。
上唇小帯について詳しく知りたい方は、お気軽にご相談ください。
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